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大不況ではなく大収縮

 2011-10-07
国際金融分野の権威であるケネス・ロゴフハーバード大学教授が、興味深い記事を書いていました。

現在の欧米経済は大不況ではなく、大収縮だと喝破しています。対策としては、緩やかなインフレ路線をとることを主張しています。東洋経済オンラインに掲載された記事を下記に転載します。下線や斜め文字は中野によるものであることを付け加えておきます。


転載始め

欧米経済の病名は大不況でなく大収縮
東洋経済オンライン 9月28日(水)11時0分配信

 どうして今なお人々は今回の金融危機を「グレートリセッション(大不況)」と呼んでいるのだろうか。この用語は、米国や他の国々が、直面する問題に危険な誤診を下したことに端を発しており、それがひどい経済予測や政策へとつながった。

 「大不況」という表現は、「今の経済は典型的な景気後退のコースをたどっているが、深刻さの程度が大きいだけで、重い風邪のようなものだ」という印象を与える。そのため、今回の景気下降局面で、経済予測の専門家やアナリストたちは戦後の幾度かの米景気後退に例えようとして、ひどい勘違いをしている。しかも、あまりに多くの政策立案者が、「財政政策や大規模な企業救済策といった従来の政策手段によって、今回の大不況に対応できる」という考えに頼ってしまっている。

 しかし、本当の問題は、世界経済がひどくオーバーレバレッジ(借り入れによる投資の行き過ぎ)になっていることだ。デフォルト(債務不履行)、金融抑圧、インフレなどによって債権者から債務者に富を移転する計画なしには、そこから簡単に抜け出すことはできない。 現在の危機の呼び名として、より正確なのは「第2のグレートコントラクション(大収縮)」だ。米メリーランド大学のカーメン・ラインハート教授と私が今回の危機を深刻な景気後退の典型としてではなく、深刻な金融危機の典型として分析し、共著『国家は破綻する』の中でこの呼び名を提案した。

 元全米経済研究所エコノミストのアンナ・シュウォーツと故ミルトン・フリードマンが強調したように、第1の「大収縮」はもちろん大恐慌だった。この場合、通常の景気後退のように生産と雇用だけが縮小するのではなく、債務と債権も縮小し、ディレバレッジ(借り入れによる投資の解消)が完了するには通常長い年月を要する。

■唯一の解決法は穏やかなインフレ

 なぜ呼び名を問題にするのか。仮にあなたが肺炎にかかっているが、ただの重い風邪だと思っているとしよう。そんなときは正しい薬を飲まないことがよくあるが、それでも自分の生活が早く普通の状態に戻ると期待するに違いない。

 従来の景気後退では、経済成長が再開すれば、かなり迅速に正常な状態に戻る。経済は失った分を回復するだけでなく、1年以内に成長の長期的なトレンドに追いつくことが多い。ところが深刻な金融危機の後に続く状況はまったく異なる。1人当たり国民所得が危機前のピーク時と同水準に戻るだけで4年以上かかるのが普通だ。

 財政刺激策がほぼ失敗に終わった理由は、それが間違っていたからではなく、「大不況」の対策として規模が十分でなかったからだと多数の解説者が論じてきた。

 だが、「大収縮」において第一の問題は債務が多すぎることだ。高い信用格付けを保持する政府が乏しい資源を有効に使うとしたら、最も効果的なアプローチは債務の整理と削減の流れを作ることだ。
 一例として、政府は、将来の住宅価格上昇分の一部が手に入る代わりに、貸付金の評価額を引き下げるよう金融機関に促すことができるかもしれない。同様のアプローチは国家に対しても行うことができる。たとえば、10~15年後にギリシャ経済が予想以上に回復した場合には債務の返済額を増やす代わりに、ギリシャに対し今よりも大規模な救済措置を取るように、欧州の富裕国の有権者を説得することはおそらく可能だ。

2008年12月に書いたコラムで、私は、痛みを伴うディレバレッジと低成長の期間を短縮する唯一の方法は、数年間4~6%程度の穏やかなインフレを維持することだと論じた。もちろん、インフレは、貯蓄者から債務者に所得を不公正かつ独断的に移転するものだ。だが、こうした所得移転は、より速やかな景気回復に向けた最も直接的なアプローチである。欧州が苦しみながら学んでいるように、所得移転は最後にはどうしたって起きてしまう。
 インフレを持ち出すことを、経済学界の異端の一形態だと見なす専門家もいる。しかし、景気後退とは違い「大収縮」は非常にまれな出来事であり、おそらく70年か80年に一度しか起こらない。こうしたときにこそ、中央銀行は平時に蓄えている信用を少し利用すべきだ。

 「大不況」という考えに乗り遅れまいと大急ぎする動きが起きたのは、誤った枠組みが大半のアナリストや政策立案者の頭にあったからにほかならない。残念なことに今となっては、そうした人たちがどんなに間違っていたかは明々白々だ。

 これまでの誤りを認めることが解決策を見いだすための第一歩だ。歴史を振り返れば、景気後退は、すべてが落ち着いたとき、命名され直すことが多い。「大不況」というラベルをすぐに捨て、「大収縮」という適切な用語に置き換えれば、もう少し速やかに事態が把握できるだろう。金融危機後に行われたひどい予測や誤った政策を取り消すには遅すぎるが、よりよい政策を実行するのに遅すぎることはないのだ。


■Kenneth Rogoff
1953年生まれ。80年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。99年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001~03年までIMFの経済担当顧問兼調査局長を務めた。チェスの天才としても名を馳せる。

(週刊東洋経済2011年9月17日号)
記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

転載終わり
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