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国際経済が政治問題化する理由

 2012-10-31
◇政治問題化しやすい国際貿易

今回は、政策の中でも最も扱いが難しい国際貿易を扱います。

政治家は、国内有権者の特定産業を保護する必要性から、関税や輸入割り当てなどの保護貿易に訴える誘因を持ちます。例えば、日米間で繊維交渉から自動車、半導体に関する一連の通商交渉では、日本側の輸出攻勢からアメリカ国内産業を守るための様々な保護貿易が行われてきました。

保護貿易論は、19世紀のJ・ミルが提唱して以来、政府の関税や補助金などの貿易政策を正当化するために使われてきました。

下記に見るように、保護貿易は発展途上国の専売特許ではなく、先進国でも農業分野を中心に根付いています。

近年では、日本やドイツなどの貿易黒字国の輸出を意図的に減らすために為替の切り上げ(例:円高ドル安)を強要して貿易赤字国の輸入を促進する政策もとられました。一方、戦略的貿易政策が悪用されるなど、保護主義には官僚や利害関係を持つ政治家たちを虜にする魔力を持っています。それ故に、政治問題化しやすいと言えましょう。


◇通商交渉はゲームのルール設定の場

そして、現在の日本ではTPP(環太平洋経済連携協定)が国論を二分するほどの議論が起こっています。

日本では、JAを筆頭とした農業保護が長年行われています。

JA以外には日本医師会が強固な反対論を唱えていますし、保守派の中にもさらなる「開国」は必要ないという意見もありますが、裏にはアメリカによる一極支配に対する恐怖と過度な誤解があるように思えます(実際、アメリカによる不条理な要求があるのは事実だが)。

実際は、必ずしもアメリカの一人勝ちとなっているわけではありません。

例えば、アメリカ政府が日本政府に要求した自動車の輸出自主規制を見てみましょう。

1981年、日米間では貿易摩擦の真っ最中。交渉は難航し、最後は日本政府がアメリカ政府の過度な保護主義を恐れて自動車販売の輸出自主規制をのみました。輸出台数は当初168万台でしたが、1984年から1985年には法改正されて制限台数は185万台に増加。85年には合意は失効するはずでしたが、日本政府は輸出規制を継続する意思を示し、日本側は高品質の大型高級車の販売を伸ばしました。

その結果、アメリカにおける日本車の価格が上昇。皮肉にも、交渉ではアメリカが勝利しても、輸出自主規制の経済効果はアメリカにマイナス、日本側にプラスとなったのです。

輸出自主規制や輸入自主拡大政策にせよ、貿易政策には各国の官僚や政治家、関連業界の利害が絡む政治ゲームとなっています。

TPPは、そうした中で交わされる貿易と投資に関わるゲームのルールを設定する場です。

ルール設定には、参加各国間の同意が必要とされ、交渉期間は10年程度の猶予期間を設けています。よって、必ずしも一つの国が利益を全部かすめ取る(Winners take all)とはなりません。



◇通商交渉の真の狙いとは

TPPなどの各種通商交渉の真の狙いは、貿易と投資の自由化を通じて参加国の富を増やし、効率的な資源配分を促進するものです。

しかし、現実は政治ゲームです。その裏には貿易に対する誤解や偏見が蔓延しているのも事実です。

例えば、「国際競争力」という概念は広く通商交渉にも登場します。

既存産業が「中国やベトナムなどの低賃金国とはまともに戦えない」というような内容はよく耳にするでしょう。実際、輸入品と競争している産業にとっては死活問題であるのは事実です。なぜなら、輸入が拡大すれば失業者を出し、場合によっては倒産に追い込まれるからです。

このように、国内においては勝者と敗者が生まれるのは事実ですが、国際貿易の原則は双方が勝つ取引です。いわゆるWin-Winの関係にあります。

輸出だけを重視するという考え方は、経済学の父と呼ばれたアダム・スミスが痛烈に批判した「重商主義」の考え方です。輸出国は、支払いが輸入国から入り、輸入国は、国内で生産したら割高な製品やサービスを安く購入できるというメリットがあります。要するに、輸出がプラスで輸入がマイナスではなく、自発的な交換の利益が双方にもたらされるからこそ、貿易は成り立っているのです。


◇方向性としては正しい

現実の世界は、経済学の教科書通りに自由貿易が最適ではいないかもしれません。環境汚染などの「市場の失敗」や知財権が絡むと国際的な独占産業が生まれやすくなります。農業のような保護産業は補助金によって成り立っています。

ただし、認識しなければいけない点があります。

それは、保護主義は国民に負担を押し付けるだけではなく、一部の業界が国民の犠牲のもとに既得権益を温存させているということ。よって、TPPが進めている貿易の自由化や投資の促進を進めることで打破することができます。それ故に、方向性は正しいのです。

ノーベル経済学者のM・フリードマンが主張した『資本主義と自由』にも同様の内容が書かれていますが、それは「自由からの繁栄」を目指す幸福実現党の政策理念と一致するものです。

保護主義は形を変えた社会主義です。関税は増税であり、貿易制限は規制そのものだからです。一方、貿易の自由化は減税や規制緩和と同様の効果をもたらし、経済成長を促進する一つのエンジンにもなるのです。


*HRPニュースファイル443に掲載済の記事


参考文献

Elhanan Helpman 'Understanding Global Trade"

Paul Krugman, Maurice Obsfeld 'International Economics Theory and policy 7th edition"

Jagdish Bhagwati 'In defence of Globalization"

Joseph Heath 'Filthy Lucre"

J・バグワティ― 『自由貿易への道』

M・フリードマン 『資本主義と自由』

P・クルーグマン 『経済政策を売り歩く人々』

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ユーロの足かせ

 2012-04-27
大不況の国際研究で知られている経済史家のB・アイケングリーンは、1930年代の大不況は金本位制が足かせとなって不況が深刻化したことを指摘しています。この論点は、日本では早稲田大学の若田部昌澄教授や学習院大学の岩田規久男教授が紹介しているので、ご存知の方も多いでしょう。

金本位制とは、金と通貨価値の兌換比率をもとにした通貨制度で、一種の固定相場制です。日本でも、金本位制に苦しんだ歴史がありますが、時の蔵相であった高橋是清による金本位制離脱、日銀の国債直接引受による金融と財政の一致政策で不況を克服しました。また、現在のFRBのB・バーナンキ議長は大不況研究の第一人者の一人で、1930年不況の実証研究より、金本位制を離脱した国から不況脱出が早かった指摘しています。前述のB・アイケングリーンは、「金の足かせ」という言葉を使いました。

このような歴史があるのですが、今ではユーロが経済の足かせになっている可能性があります。もちろん、ユーロはユーロ圏内だけでなく、国際通貨となっており、円やドルに対しては変動しますので、直接金本位制と比較するわけにはいきません。問題の本質は、ユーロ圏諸国の金融政策の自由度です。ECB(欧州中央銀行)が動かなければ、不況でも金融緩和を行うことができないことや、成長安定協定により財政が締め付けられており、ユーロ圏は身動きが取れない状態となっていると意味です。プリンストン大学教授のP・クルーグマン教授は、NYタイムズのコラムなどで堂々とユーロ離脱を口にしており、「ユーロの足かせ」という言葉まで使っています。

確かに、ギリシャやスペイン、イタリアの状況を見れば、ユーロ離脱という話が出てきてもおかしくはありません。この論点は、HRPニュースファイルでも紹介しましたので、J・フランケルの記事と共に下記にリンクを貼っておきます。興味がある方はご覧ください。



J・フランケル EU離脱なしのギリシャ救済は本当に可能か?ダイヤモンドオンライン

HRPニュースファイル177 日本政府よ ギリシャのデフォルト危機を救出せよ
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ユーロ圏がマイナス成長

 2012-02-16
ギリシャデフォルト危機で揺れるユーロ圏。先日、ギリシャへの融資も延期となることが発表されました。ユーロには、独自の成長協定があり、財政赤字対GDP3%以内、長期債務残高対GDP60%以内が足かせになっているのは間違いありません。ギリシャ以外にも、スペイン、ポルトガル、アイルランドがデフォルト危機にある中、ユーロ圏全体に光明を見出すことは極めて難しいと言えるでしょう。こうした事情もあり、ユーロ圏がマイナス成長となりそうです。まずは関連記事をご覧ください。

転載始め

<ユーロ圏>2年半ぶりマイナス成長…10~12月期毎日新聞 2月15日(水)23時44分配信

【ロンドン会川晴之】欧州連合(EU)統計局は15日、ユーロ圏諸国(17カ国)の昨年10~12月期の域内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値が、物価変動の影響を除いた実質ベースで前期比0.3%減(前期は0.1%増)だったと発表した。年率換算では1%程度の減少とみられる。マイナス成長は09年4~6月期以来、2年半ぶり。

 ギリシャ危機を発端とした欧州債務危機が景気を冷え込ませたことが鮮明となった。危機収束の道筋は見えておらず、12年1~3月期もマイナス成長が続けば、景気後退局面と認定される。

 ユーロ圏で経済規模が最大のドイツが0.2%減(前期は0.6%増)に落ち込んだほか、巨額の財政赤字を抱えるイタリアが0.7%減、スペインが0.3%減など南欧諸国も軒並みマイナス成長に陥った。イタリア、ベルギー、オランダが2四半期連続でマイナス成長と景気後退局面に入った。一方、フランスは0.2%増とプラス成長を維持した。

 また、EU全体(27カ国)でも0.3%減(前期は0.3%増)。ユーロを導入していない英国も0.2%減に落ち込むなど12カ国がマイナス成長に陥った。11年年間では、ユーロ圏が前年比1.5%増、EU全体が1.6%増だった。

 欧州各国は財政健全化を迫られ、大規模な景気刺激策の実施は難しい情勢にある。一段の景気悪化を防ぐには、債務危機の抜本的な打開策を打ち出すことが課題となっている。

転載終わり



この記事を書いている記者は、景気悪化を防ぐには債務危機を回避する抜本的な打開策が決め手とあります。これは、経済がよくわかっていない人の典型的な考え方です。では、抜本的な打開策とは何か?増税や歳出カットをすれば、一層景気が冷え込みます。残された選択肢は欧州中央銀行による金融緩和しかありません。債務問題が片付くことで景気悪化を回避できる経済学は存在しません。メディの経済リタラシーの低さを示していると言えるでしょう。

多少厳しい意見を書きましたが、本格的にユーロ圏が成長を回復させるためには、一時的に成長協定を棚上げして各国の財政政策や金融政策を行うことです。それ以外に方法論はありません。共通通貨ユーロの存在自体が脆弱となっている今、欧州独自の制度にこだわるのは得策だとは思えません。

EU発の大不況が起こらないことを祈るばかりです。






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ギリシャのデフォルトはあるのか?

 2012-02-08
今回のギリシャ危機はデフォルト寸前という切迫した情勢です。欧米メディアでは、The Economist, Financialtimes, Timeなどの主要メディアでも大きくギリシャのデフォルト問題を扱っています。

HRPニュースファイル177日本政府よ、ギリシャのデフォルト危機を救出せよでも触れましたが、ギリシャは欧州委員会、欧州中央銀行、IMFとの債務削減交渉が合意に達しない場合、早ければ3月20日の国債償還が144億ユーロ(約1兆4100億円)が払えず、事実上のデフォルトとなります。今回は、130億ユーロ(1兆2900億円)の融資がギリシャ経済にとって生命線となっているのですが、昨年から国内での財政再建路線が予想以上に進まず、トロイカからの期待に応えられていないのが現状でしょう。


日本政府としては、ギリシャ政府に直接融資をしてデフォルト危機を回避するべきだと思いますが、内政に凝り固まった現在の政治家には無理な要求なのかもしれません。その意味で、前回のリーマンショックでIMFに支援をためらわなかった麻生元総理の決断は素晴らしかったと思います。野田首相の経済政策には全く同意できないのですが、彼がギリシャ支援を実行したならばきちんと評価されると思います(私だけではないです)。

日本と欧州は日欧経済連携協定によって貿易・投資を活性化させようとしているのも事実です。日米同盟を基軸にしながらも、自由主義、民主主義、資本主義を標榜する陣営は多数ありますので、安全保障の観点からも欧州との結びつきを強化することは損ではありません。その意味で、ギリシャ支援は最大のチャンスだと言えます。



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アメリカの失業率が8.3%へ低下。24万人の雇用増

 2012-02-04
アメリカの失業率が低下しました。専門家の予想を大きく上回る雇用増があり、失業率は8.5%から8.3%へと低下し、雇用は24万人増加したとのこと。日本語のサイトではあまり触れていないので、ここで簡単に紹介しておきます。

転載始め

Unemployment Falls As U.S. Adds 243,000 Jobs

The U.S. labor market continued to add new jobs in January, pushing the unemployment rate to the lowest level in nearly three years, in a sign that the economy is recovering from the worst recession in decades. The Bureau of Labor Statistics said January’s unemployment rate fell to 8.3% from 8.5% in December as the economy added 243,000 jobs, a much better result than the 125,000 to 150,000 jobs that many analysts had been expecting.


The overall trend trend in the report pointed to strengthening momentum in the U.S. economy. The number of unemployed persons fell to 12.8 million, the lowest number since February 2009, which was President Obama’s first full month in office. Professional and business services added 70,000 job, while the manufacturing sector increased by 50,000. The construction sector, meanwhile, added 21,000 new jobs.

“This is the strongest jobs report seen through the entire recovery,” Justin Wolfers, an economist at the University of Pennsylvania, wrote in a Twitter message. “It’s rare that all indicators point so strongly in the same direction.”

A broader measure of unemployment, the so-called U-6 figure, which includes those with part-time jobs, fell to 15.1%, down one-tenth of a point. Even the Labor Dept.’s revisions for previous months contained good news. November’s job growth was revised from 100,000 to 157,000, while December’s figure increased from 200,000 to 203,000.

The better-than-expected results came even as the number of government jobs declined by 14,000. The strong data is sure to be welcomed by the White House, which hopes that a strengthening economy boosts President Obama’s re-election hopes.

Despite the good news, the economy has a long way to go before it reaches a full recovery. Some 12.8 million people are still out of work, and the unemployment rate of 8.3% is nearly twice what’s considered healthy. But the data suggests the labor picture continues to move in the right direction.

The positive jobs data propelled stock futures higher before the opening bell of trading Friday


転載終わり

全訳だと大変なので、主要部分を要約・解説しておきましょう。

まず、最初の段落ではアメリカの雇用統計より、アメリカがこの3年間で最も低い水準に低下したとのこと。8.3%で最低ということですから、アメリカ労働市場がいかに厳しいかがよくわかります。米労働統計局の発表によれば、1月の失業率は8.3%に低下しただけではなく、24万3千人雇用が増えたとあります。この数字は、アナリストの予想の12万5千から15万を大きく上回ったのです。

主な増加した部門は専門職やサービス業で7万人、製造業で5万人、建設業で2万1千人増加しました。アメリカ経済はサービス産業などのソフト産業が強いことを裏づける数字ですが、意外と製造業の雇用が盛り返したのは注目に値します。当然、雇用増は大統領選再選を狙うオバマ大統領ないしホワイトハウスには吉報でしょう。ただ、これだけの数字でオバマが再選するかどうかは別問題です。

というのは、依然として1280万人が失業状態であるからです。アメリカでは、健全な失業率と呼ばれる水準は4%弱ですが、現在の水準は倍以上です。それでも、経済は回復基調にあることには変わりなく、週明けの株式市場にが上昇する誘因になると結ばれています。

2008年以降のアメリカ経済において、積極的な財政金融政策を発動してきたアメリカ経済。財政赤字の増大やインフレ懸念の問題など、まだまだクリアするべき課題は多いですが、きちんとした政策を行ってきたのは事実です。やはり、不況を克服するマクロ経済政策にはラグ(時間のずれ)があります。日本経済は、震災不況のまっただ中ですが、少なくとも3年間から4年間ぐらいのスパンで見ていく必要があるとも言えます。現在のように、増税と消極的な金融政策では、日本経済の復活は極めて厳しいとみるべきです。

このように、アメリカではマクロ経済政策が徐々に効果を発揮しはじめています。アメリカ国内では、オバマ大統領やFRBのバーナンキ議長の手腕に批判が集まっていますが、彼らは不況を恐慌に陥らせないための政策をおこなったにすぎません。ある意味、財政赤字が膨らんだのも当然の流れでしょう。

まあ、大統領選挙を控えているので、ある程度統計をいじったと見る向きもあるのは日米共通なのかも知れませんので、私はこの記事をみてアメリカ経済が復活したと断定することは避けます。本当に大事なのは、新大統領になってからの経済動向でしょう。ただ、インフレ目標を導入して金融緩和を断行しようとするFRBの動きを見てみると、今後アメリカ経済がさらに回復する可能性は高いかもしれません。今後も注目していきたいと思います。


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