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公会計第二弾

 2013-11-04
公会計についてはまだ詰める論点はたくさんあるのですが、HRPニュースファイルでは二週続けて掲載しました。私は、公会計と市場経済のつながりがあることが理解できたことが大きいと思っています。また、国際経済学と会計とのつながりはほとんどないので、今後の研究対象にします。

従来の経済学は、数学モデルと計量経済学の導入によって飛躍的に発展しました。そして、数多くの教科書が出帆されているので、多くの方が経済学を学ぶ機会が増えたのも事実です。現代の経済学は数学と物理学が合体したことで発展したように、最近は心理学との融合によって行動経済学が生まれています。個人的には、次は会計学と経済学の融合が必要だと感じています。



◇自由主義と無政府主義は同じではない

市場で供給できないサービスを公共財と呼びます。公共財は民間では代替できにくいと考えられているもので、司法制度や国防が代表的です。

自由主義陣営の中には、無政府主義という考え方がありますが、現代社会においては政府の完全否定は極端すぎると言えるでしょう。自由主義とは本来、無政府主義と必ずしも同じではありません。ノーベル経済学者であり、自由主義哲学の構築にも貢献したF・ハイエクでさえ、『法と立法と自由』の中で課税権の行使を認めています。ただし、公共財の提供者として政府が常に関わり続ける必要性はないというのが重要な論点です。

例えばハイエクは、中央銀行の民営化を提唱しました。貨幣の発行権を中央銀行が独占せず、民間の銀行にも発行させて競争させるメリット説きました。幸福実現党もメガバンクからの紙幣発行を提言していますが、理論的な背景にはハイエクの思想があります。

最近では、公民連携(Public-Private Partnershipの頭文字をとってPPPとも呼ばれる)と呼ばれる行政手法が注目されています。つまり、役所の仕事を民間が代替することで自治体の行政コスト削減ができることを意味します。ハイエクの考えが、具体的な手法となった姿だと言えるでしょう(参考文献:O・ポーター著『自治体を民間が運営する都市』米国サンディー・スプリングスの衝撃)。

筆者が2月に参加したアジア・リバティーフォーラムの中でも、自由主義者の共通の理念は、私有財産の保証、市場メカニズム、そして限定的な政府活動Limited Government Activitiesだと教わりました。「経済学の父」と呼ばれたアダム・スミスの提唱した経済哲学も、ほぼ同じ内容です(スミスは分業と呼んでいたが、市場メカニズムにおける交換の利益と生産性向上を指す。『諸国民の富』参照)。

◇政府の仕事に経営の発想を取り入れる

よく「お役所仕事」と呼ばれる言葉は、行政の非効率性を表します。役所では予算をいかに使い切るかが課題で、余った場合は翌年の予算は切られます。決算期になると予算の費消が行われるのは、予算カットを恐る役所の自己保身にあるわけです。

一方、民間では予算が余れば翌年に繰り越すなどして効率的な資金運用が前提とされます。企業は利益を出すことが最優先なので、予算を費消するインセンティブはありません(節税対策として意図的に赤字を作る企業は別)。

◇行政の成果を表す公会計

経営とは、最小のコストとリスクで最大の利益をあげることです。税金を使用して公共サービスを提供する国家経営や地方自治体にも経営が必要なのは言うまでもありません。著名な経営コンサルタントしてアメリカで活躍したP・ドラッカーも同じことを主張しています。そして、成果の貨幣的評価が会計なのです。会計とは、単なる数字の羅列や財務諸表の作成ではなく、資源を預かる者の成果を測る指標なのです。その意味では、企業会計の損益計算書にあたるものが公会計の成果報告書です。

行政コスト計算書も大事です。しかしながら、行政コストだけでは、行政の成果まで測ることはできません。行政の貨幣的成果とは、発生費用から受益者の負担などを差し引くことで求められます。両者が均衡していればサービスと費用は釣り合っています。受益者の負担以上に費用が高い場合は、経営に問題がある証拠です。費用の財源は税金なので、この値が大きければ「将来の税金」として増税される可能性が高くなります。

◇会計の情報開示と国民の関心

公会計は、納税者に政府活動の会計情報を提供します。会計情報に基づいて首長や内閣総理大臣が納税者の負担を減らすことができたかどうかの成果を測る上では有益です。費用が増大した場合は、国民や市民に説明をしなければいけません。最初から増税を主張する経営者は、赤字を価格引き上げによって賄おうとするようなものです。民間では、そのような会社は倒産することになるでしょう。

17世紀の思想家であるモンテスキューは、「彼らは常に政府の窮乏について語り、われわれの窮乏についてはけっして語らない」と著書『法の精神』に記しました。しかしながら、現代では、有権者が正しい情報を目にすることなく、選挙のない時に増税が進行します。その根拠が「国の借金が1000兆円」とか「一人あたり800万円の借金」といって財政の窮乏を語って増税を正当化していますが、国民負担が増えることについては触れません。モンテスキューの指摘は現在でも当てはまっています。別の見方をすれば、国民が政府活動の成果に関心がないので、財政の窮乏は生活の悪化と思い込んでしまいます。つまり、財務省や増税派の政治家は、国民の無関心を利用しているわけです。

もし会計情報の浸透と国民の関心の高まりがあれば、政治家や役人が税金の無駄使いをすることが難しくなります。ましてや、増税などは主張できなくなるのです。

現在の公会計は、地方レベルで初歩的な導入が始まっています。市議や県議、知事を目指す方は、公会計とPPPの導入を公約としてもよいでしょう。いずれ政府にも適用しますが、まずは地方から実績をつくることも必要です。明治維新が地方から始まったように、改革は地方レベルから始まるかもしれません。幸福実現党としても、公会計とPPPは今後も研究を重ねて政策提言をしていく所存です。(文責:中野雄太)
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公会計導入を急ごう

 2013-10-24
政府の経済活動を会計の立場から分析するアプローチが公会計です。

財政赤字の経済分析と言えば、マクロ経済学と財政学が主流となっていますが、実はこれだけでは足りません。政策分析には、多角的視点が必要だからです。最低限必要な経済学は、政治家になる方にはぜひマスターして欲しいと思いますが、もう一つ会計の原則を理解すれば、より明確に財政赤字を削減する方向性が見えてくると思います。

さて、現在は公会計の導入は進んでいません。

実際、千葉商科大学大学院の吉田寛先生が、『公会計の理論』を刊行されている程度で、あとは目立った公会計の本は内容に思われます。もし、読者でご存知でしたら教えて欲しいです。

会計学は、他の学問同様に専門用語が多いですが、原則を知ればそれほどでもありません。また、社会人となれば、損益計算書や貸借対照表は必須アイテムなので、誰もが勉強をします。一般企業ではどこも採用しているので、企業会計はだいぶ浸透しているように思えます。その一方、政府の会計はイマイチ分からないというのが現実です。下記の小論にも書きましたが、国の貸借対照表は確かに存在するのですが、財務省は意図的に国民の目をそらすように努力しています。その証拠に、財務省のHPに入っても、見つけにくくなりました。

公会計はともかく、国の貸借対照表を人口に膾炙することに貢献した、嘉悦大学の高橋洋一教授は、千葉商科大学で博士号を取得しています。その際、竹中平蔵教授や加藤寛教授から英語と会計の重要性を勧められたようです。高橋教授の博士論文がベースになった『財投改革の経済学』を読めば、そのことが分かります。また、『バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる』という著書もあります。おそらく、千葉商科大学の博士課程でマスターしたと思われます。

私は、高橋教授の考えは正しいと思います。そして、政治家には会計学の知識が必要であると思います。加えて、政府の会計には公会計を導入することが望ましいと考えています。


とまれ、HRPニュースファイルでは公会計の基本を紹介しています。この小論のなかで、会計学の教科書には必ず出てくるスチュワードシップという考え方を紹介し、政治家にも応用できることを示しました。


HRPニュースファイル799 政治家に求められるスチュワードシップという考え方


政治家は有権者の代表者です。国会議員、地方議員に限らず、選挙によって選ばれている以上は、有権者のために働くことは当然の義務であり、最低限の職業倫理であります。

今回は、スチュワードシップという考え方を紹介したいと思います。

◇スチュワードシップとは何か

会計学の教科書には、スチュワードシップStewardshipという言葉が出てきます。日本語では受託責任と訳され、主に株主と経営者との関係で語られます。

要するに、株主から委託された資金をきちんと管理するだけではなく、株主の利益に合うように最大限の経営努力をするということです。経営者が、株主総会で株主の期待に応えられない場合は、痛烈な批判を浴びるか退任を余儀なくされます。経営者は、厳しい成果責任を問われているわけです。

その意味では、政治家は有権者によって選ばれているわけですから、国民への受託責任が生じると考えるのが自然でしょう。彼らの生活は血税によって成り立っています。政治家は、公人として有権者から預かった税金を使って、国民へのサービスを提供し、最大限の満足を得るというのが本来の受託責任となります。従って、政治家がスチュワードシップの精神に戻ることは、安易な増税路線への抑止力になるのです(もちろん、有権者が安易に国に依存することも問題だが、今回は受託責任に絞って議論する)。

◇税金使用の成果を白日のもとにさらす公会計の役割

国民の税金を使用している以上、やはり一定の成果を示さなければなりません。成果を最も端的に表しているのが会計です。会計とは、単なる数字の埋め合わせではありません。経営者の功績を測ること。言い換えれば、経営者=政治家の成果を明らかにすることが大事なのです。

一般の企業では、売り上げから費用を引いた値が収益とされます(いわゆる損益計算書による定義)。政府の場合は、様々な公共サービスにはコストが付きます。そして、公共サービスを受けるために、国民は納税をします。言い換えれば、費用から受益者負担を引いた値が納税者の負担です。

公会計の勘所は、費用と受益者の負担を均衡させる点にあります。費用が上回っているならば、受益者の負担を増やすのではなく、リストラをして下げること。リストラ努力をしなければ、差額分は「将来の増税」としてみなされ、増税を引き起こすことになります。

そして、どの分野にどれだけの資金が使用されているかをはっきりさせることです。

千葉商科大学大学院の吉田寛教授の著書『公会計の理論』には、東京の某23区内の私立幼稚園と区立幼稚園の経費を比較した成果報告書が掲載されています。

区立幼稚園児一人あたり費用は93万に対し、私立幼稚園は46万円です。

これらの数字から園児納付金等を差し引いた値が区民の負担ですが、区立が86万円に対して私立が約14万円となっています。驚いたことに、私立幼稚園は区立の6分の1の負担で済んでいることが明らかにされています(同書には、高速道路や自治体の成果報告書も掲載されている)。

公会計の最大のポイントは、行政コストが明確にされること。そして、成果報告書を通して行政の効率化の状況を国民に説明しやすくなる利点があります。

◇減税を実現する一つの道具としての公会計

翻って、国の会計はどうでしょうか。

確かに、貸借対照表は作成しているようです。ただ、公表が2年から3年に一回程度であり、財務省のホームページに入ってもすぐには見つけられなくなっています。極めて複雑であり、納税者の目をくらましているにしか見えません(特に、特別会計は専門家でも理解に苦しむほど複雑だと言われている)。

社会保障にしても、保護を続ける農政にしても、やはり一度成果報告書を作成して費用が増えている理由をきちんと白日のもとにさらすべきです。やはり、国レベルでの「棚卸」をするべきであり、安易に赤字の垂れ流しを正当化することは問題があります。

今後は、国土強靭化計画や東京五輪のインフラ整備等で公共事業が発注されることになるでしょう。その際も、更新引当金を積むことで耐用年数を迎えたインフラに対して国民の負担が増えないようにすることが、公会計を導入することで実現します。

現在、公会計の導入は進んでいませんが、政治の皆様が納税者のために最大限の経営努力をするスチュワードシップの精神を持って頂くことが国の財政赤字削減と小さな政府実現に向けたエンジンとなります。

幸福実現党は、国や地方自治体に経営の思想を導入し、小さな政府の実現を目指しています。だからこそ、今回紹介した公会計は十分検討に値すると考えます。(文責:幸福実現党静岡県本部幹事長 中野雄太)
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TPP交渉に進展あり

 2013-10-14
TPP交渉が始まり、日本もいよいよ農業分野の関税撤廃に向けて動き始めました。日本が関税率ではだいぶ引き下げが実現しているので、「もうこれ以上の開国は必要がない」という論客もいますが、日本の農業の実体を知っていたら、決してそのようなことは言えません。農産物全てではないにせよ、コメの778%を代表として1000%を超える品目がある以上、言い逃れはできません。

もちろん、TPP以前の問題として減反の見直しも進めなければいけません。そして、JAの過剰なまでの保護主義傾向にメスを入れない限りは解決できない問題でもあります。国内では、農水族などがいますし、既得権益となっているJAですので、TPPやFTAのような貿易交渉を機に改革に着手することは有効でしょう。

現時点、TPPは不人気な政策であることは事実です。

保守系はだいたいTPPに反対しており、なかには「亡国最終兵器」だという人もいます。また、国体が変革されるとまで主張する方もいますが、貿易交渉でなぜ天皇陛下を戴く日本の国体が変わるのでしょうか。誠に奇妙奇天烈な論理で、私には理解不能です。

政治家でも、政局にあくせくしている方々は、貿易交渉などの国際経済問題に関しては無知とってよいかもしれません。農業県では、TPP反対を言わないと当選しないでしょうが、国の代表者である国会議員ならぜひとも得意となって頂きたい分野の一つです。外交とは、必ずしも軍事問題や歴史認識問題だけではありません。エネルギー問題を含め、通貨や貿易交渉などのように経済問題が多いのです。G8の一角を占めながら、全く存在感のない日本ですが、こうした国際問題について知らないということも大いに関係があります。だからこそ、日本が国際社会でリーダーシップを発揮していくためにも、TPPで優位な立場を築くことは意味があります。


今回のHRPニュースファイルでは、ずばりこの問題について触れています。


HRPニュースファイル787 TPP交渉の方向性


◆なぜ聖域の関税撤廃論が出てきたのか
インドネシアバリ島のヌサドゥアで行われていたTPP(環太平洋経済連携協定)の閣僚会合が閉幕しました。

10月8日から首脳会合が始まり、参加12カ国による本格的な交渉が継続しています。

今回、最も注目するべきは、自民党のTPP対策委員長の西川公也氏が党内で「聖域」と呼ばれているコメや麦などの重要5品目の関税撤廃の可能性をほのめかしたことです。

当然の如く、JAなどの農業団体からは反発が起きています。

全国農業共同組合(JA全中)は、「586品目すべてが聖域だ。一歩も譲れない」と強固な姿勢を示しています(サンケイビジネスアイ10月9日)。

その意味では、農業団体を支持母体に持つ自民党議員としては勇気ある発言でした。理由は次の通りです。

WTO(世界貿易機構)のルールであるGATT第24条によれば、実質的にすべての貿易について関税を撤廃することが明記されています。

例えば、アメリカ、カナダ、メキシコの間で締結されているNAFTA(北米自由貿易協定)では、98%以上の関税撤廃を実現しました。

EU内の自由貿易協定でも97%と高い達成率を誇っており、ある意味国際的な「相場」になっているとも言われています(渡邊頼純著『TPP参加という決断』参照)。

これに対して、日本がこれまで結んだ経済連携協定(EPA)は12件ですが、達成率は最大でも88%と、90%を下回っています。

最大の理由は農産物の関税撤廃が進まず、「聖域」を多く抱えているからです。

つまり、西川TPP対策委員長の発言は、WTOの精神と国際的な流れからみても極めて常識的です。

また、内閣府の西村康稔副大臣も「(ほかの参加国から達成率が)低いと言われているのは事実だ」と言及し、いよいよ日本最大の既得権益とも呼ばれるJAにメスが入る可能性が出てきたわけです。

東京大学の著名な農業学者である本間正義氏は、「WTOがそうであるように、出来るだけ農業も他分野と同等の扱いの下に置こうとすることが望ましい」とし、消費者の犠牲のもとに成り立つ農業政策の見直しを主張しています(馬田啓一ほか著『日本通商政策論』第10章の本間教授の論文参照)。

結局、JAなどのTPP大反対をしている団体は、既得権益を守るための圧力団体となっており、消費者の利益に対する配慮が少ないと言えます。

幸福実現党も主張している通り、TPP参加によってメスが入ることで、農業分野にも一定の競争力が持ち込まれ、安くて良質な農産物が供給されるか輸出商品となる道もあり得るのです。

もし、それでも保護を必要とするならば、WTOでも認められているセーフガードを適用するか、政府からの「直接支払制度」と呼ばれる財政補償でリスクを緩和する方法があります。

◆見過ごされている論点
実は、TPPやFTAで見過ごされている論点があります。

それは、交渉期間の猶予が認められているということです。

GATT24条では、関税の撤廃に対して10年間の猶予が認められています。米豪FTAの牛肉関税削減では18年の歳月がかかりました。

チリやニュージーランドでは、小麦や繊維などの関税は10年かけて段階的に撤廃しています。

言い換えれば、TPPの交渉妥結によって関税撤廃が決定されても、すぐに相手国から集中豪雨のように輸入品が入ってくるわけではないのです。

その間に構造改革もできれば、補償措置についての議論も深めることができるのです。

◆TPP交渉は農業だけではない
実際、日本では議論の的になるのは農業ですが、TPPは衛生植物検疫(食の安全に関わることや動植物の病気に関するルール)、政府調達、原産地規制など合わせて21分野と広範囲に渡っています。

サービス分野にも広がっていることを考慮すれば、農業問題だけを取り上げることは公平性を欠きます。

上述のように、経済連携協定を12件締結している日本にとって、投資家が守られるISDSと呼ばれる投資家対国家の紛争解決手段が存在することは極めてありがたいものです。

海外ビジネスには、相手国の政変や経済状況の悪化、突然の資産の凍結や没収というリスクがつきまといます。

そうである以上、法律によって守られるということは企業の海外展開のリスクを最小限に抑えるメリットもあるのです。

◆TPP交渉と同時に進めたい国内の構造改革
TPP交渉を通じて、日本が自由、公平性、透明性を順守することとが一層定着したならば、貿易と投資による成長は加速するでしょう。

そして、国内産業にもダイナミックな構造調整が起きてくれば、競争力を通じて効率性が高まり、日本がもう一段発展する可能性が高まります。

「聖域」をいつまでも固定化してはいけません。その意味で、TPP交渉団にはぜひとも頑張って欲しいと思います。(文責・幸福実現党静岡県本部 幹事長 中野雄太)
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増税との戦いはまだまだ続く

 2013-10-04
10月1日に正式に消費税増税が決定しましたが、増税との戦いはまだまだ続きます。
政府はまだまだ新しい税金の導入と消費税率も15%以上まで引き上げることを虎視眈々と狙っているからです。社会保障の財源確保としては不十分だという認識が政府側にはあり、新聞誌上でも同じ論調が見られました。要するに、これは最初の一歩であって終わりではないということです。

今回のHRPニュースファイルでは、主にマクロ政策について触れました。増税の悪影響を緩和するために、かえって重要性が増したマクロ政策ですが、その効果は不明確です。しかしながら、現時点では何もしなければ不況がやってくると予想します。増税後の経営問題は別途触れるとして、今回の論考が皆様の参考になれば幸いです。



HRPニュースファイル778 増税と経済成長は両立しない


◇安倍首相が消費増税を決断

倍晋三総理は、2014年4月に消費税を8%へと引き上げることを正式に決定しました。10月2日各紙朝刊はこの話題でもちきりです。

2015年の10%への引き上げは未定となっていますが、財界の代表である経団連の米倉弘昌会長は、「大変な英断だ。高く評価する」と歓迎の意を示しました。

10月2日付のフジサンケイビジネスアイには、10人のエコノミストの評価と成長予測が掲載されています。

14年度の成長率は、最大で2%弱、最小で0%という結果が出ており、増税を緩和する経済対策を打ち出している点を評価している意見が多く見られました。

確かに、低所得者への給付金や復興特別法人税を2013年度末に前倒しで廃止、5兆円規模の補正予算を組んだことで景気減速効果を和らげることは事実です。

問題は、2014年4月以降の駆け込み需要の反動をどうするのかになります。

◆一層重要となる金融政策と財政政策
増税は、消費マインドを悪化させます。日本のエコノミストや経済学者は、増税による景気への効果を低く見積もっていますが、実体経済はそれほど甘くありません。

景気を底上するのは困難ですが、下げるのは極めて簡単です。加えて、景気悪化のスピードは極めて早いことにも注意が必要です。

さすれば、どうしても日銀の「異次元緩和」、そして財政出動を考えざるを得ません。

2012年末以降、日銀の金融緩和によって円安傾向にある日本経済。輸出による景気回復効果は出始めています。

ただ、アメリカ政府機関の一部閉鎖に見られるように、海外の需要低下リスクは常につきまといます。たとえ円安基調でも、肝心の外需が弱くなれば景気回復は止まります。

また、国内では駆け込み需要の反動が出る2014年以降に急激に景気が冷え込む可能性が高いのです。日銀にはまだまだ頑張って頂かなくてはなりません。

本来、日銀の金融緩和の影響が実体経済に出てくるには、金融機関から中小零細企業への貸出が増えてこなければなりません。

国債の運用で収益を上げるので精一杯の金融機関が、リスクをとって貸出を増やすことは考えられない以上、景気の回復がどうしても必要になります(だからこそ、幸福実現党は消費税の増税を中止し、景気回復に全力投球することを提唱し続けてきた)。

今回は、景気回復までいくのは難しいかもしれませんが、市場に資金が流れるための最低限の流動性を確保し、景気腰折れを未然に防ぐ意味で金融緩和は役に立つでしょう。その意味で、「出口戦略」としての性急な利上げを控えるべきです。

なお、景気の下支えとして補正予算が5兆円程度組まれる予定です。5兆円という数字は、3%ポイント分の税収を補う程度のものです。

言い換えれば、5兆円分の税収を公共投資に使うということであり、各新聞社が大きな見出しをつけている財政再建にはならないことを見抜く必要があります。

つまり、右から左に流れる以上、財政再建にはならないのです。経済学では、均衡財政乗数という考え方があります。

つまり、5兆円の増税をして5兆円公共投資に使えば、5兆円GDPが増えるというわけです(つまり、乗数は1ということ)。

なぜこの論点を持ってきたかというと、「均衡財政乗数の原則に従えば、増税分を公共投資に使えば問題ない」と言いたいわけです。

ただし、この政策はアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものであり、実体経済に及ぼす影響は極めて不明確です。

ましてや、近年では財政乗数そのものが低下傾向にあるため、理論通りにいく保証はどこにもありません(同様の主張は、高橋洋一嘉悦大学教授もしている)。

要するに、均衡財政乗数政策が疑わしいものであるならば、景気の下支えとしては失敗するリスクが高いと言わざるを得ません。

そうなると、増税後も、金融政策が重要となるのは間違いないでしょう(実際、付加価値税増税をしたイギリスが増税緩和策として採ったのが金融緩和だった)。

TPPの交渉も始まりました。東京五輪招致も決定しているので、日本経済にプラスの要素はまだあります。

現時点では、必要なマクロ経済政策とTPPなどの成長政策を通じて増税の悪影響を最小限にいくしかありません。

◆ストップ!増税天国
最後に一点、触れておくべき追加論点を述べます。

現在、試案段階ではありますが、死亡消費税や教育目的税が検討されています。

既に、国と地方を合わせて70近くの税金があり、消費税増税が決定されています。

政府がこれ以上新しい税金を作らないように、納税者である国民の厳しいチェックが必要となります。

これを怠ると、日本は「増税天国」となり、国民の自由が奪われていきます。

逆に言えば、財務省の絶対権力が強くなるということです。⇒参考論点:「財務省の絶対権力化を許してはならない」⇒http://hrp-newsfile.jp/2012/457/

増税が話題になっている今だからこそ、主権者である国民は、「納税者としての目」を開くべきです。

増税から減税を実現する戦いは、まだまだ続きます。落胆している暇はありません。(文責・幸福実現党静岡県本部幹事長 中野雄太)
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日銀短観では増税の判断にするには不十分

 2013-09-27
10月1日に日銀の短観を参考に安倍首相が増税の決定を行います。

今回のHRPニュースファイルでは、日銀短観では不十分なことを明記しました。同時に、ここにきて増税論者が強い主張を続けているので、実名をあげて問題点を書きました。日本の経済学者やエコノミストの感覚は、どうしてこれまで増税に一色になるのか不明ですが、普通に考えれば消費税増税と法人税減税などという政策が馬鹿げているのは明らかです。増税論者は成長の重要性を指摘している方も多いのですが、なぜか消費税増税は経済成長に悪影響を及ばさないと考えているようです。ただ、GDPの6割を占める消費活動に税金がかかる、ましてや2年間で税率が倍増することで悪影響がでないと考えるには無理があります。

別件ですが、今後は、私の政策提言は経済学だけを狙いとしたものから、法律や国際関係、外交問題の観点からの総合分析を勧めていく予定です。政策研究を進めていれば、どうしても一つの学問では不十分な感じを受けます。例えば、増税問題はマクロ経済学者だけではなく、ミクロ経済学にも関わっています。同時に、会計学の観点からのアプローチもあれば、自由主義思想からの切り口もあります。古典から学ぶべき論点もたくさんあります。時間の制約もありますが、政策研究を進める上では大事な視点だと考えています。

とまれ、今回のニュースファイル記事を下記に明記します。


HRPニュースファイル771 増税するか否かを決定するには、日銀短観は不十分な経済指標

2014年4月に消費税増税がされるか否かの最終段階に入りました。

10月1日の日銀短観(正式名称は、全国企業短期経済観測調査。全国1万企業を対象に3ヶ月に一度行われている)と呼ばれる経済指標を最終判断にすることを明言している安倍首相ですが、最終的にどうなるかはまだ分かりません。

◆財務省になびく経済学者たち

首相の判断が近づくにつれ、新聞や経済雑誌などでの議論が白熱を帯びてきました。

日本のシンクタンクと呼ばれるエコノミストには『消費税増税が国を救う』(大和証券チーフエコノミスト熊谷亮丸氏)という本まで出して増税を正当化する人もいます。

熊谷氏のような論調は、銀行系や証券系のエコノミストには多く、財政再建と社会保障の財源確保から消費税増税を正当化します。

熊谷氏によれば、現在の年金の基礎部分も税方式にすることを提案しており、将来的には20%くらいまで引き上げる必要性を説いています。

財務省系の経済学者では、東京大学の井堀利宏教授が有名です。同教授の主張によれば、社会保障の財源確保のために消費税増税をしても無駄だと主張。なぜなら、右から左へお金が流れるだけで問題の解決にはならないとします。

ただ、社会保障の目的税化には反対していますが、15%への段階的引き上げが望ましいとします。

実は、消費税15%はIMF(国際通貨基金)からも出されています。現在の副専務理事の篠原尚之氏は元財務官僚だということも大いに関係があります。

そして、財務省からは何十人もIMFへ出向しているのが現状であり、IMFには財務省の強い意向が働いています。

幸いにも、ラガルド専務理事とチーフエコノミストのO・ブランシャール教授が財政再建に対して慎重な姿勢をとっているとは言え、財務省の増税推進は国際機関にまで及んでいることには留意しておくべきでしょう。

◆景気が良くても悪くても増税

要するに、財務省の意向は簡単なのです。彼らには増税しかありません。

元財務官僚の高橋洋一嘉悦大学教授が指摘している通り、財務省は「あの手この手」で増税を正当化するのです。

「日銀短観が示した通り、景気は回復した。だから財政再建をするべきだ」と言うこともできれば、「たとえデフレ不況であっても、日本は世界最悪の債務水準だ。ギリシャのようにならないためにも、増税をしなければならない」「少子高齢化だから、消費税を増税して社会保障を充実すればお年寄りが安心してお金を使ってくれる」など、いくらでも理由はつけられるからです。

極めつけは、税収弾性値にケチをつけていることです。嘉悦大学の高橋洋一教授は、過去10年の日本の平均税収弾性値は3としています。

言い換えれば、GDPが1%上昇すれば、税収は3%上がるということです。一般会計での税収が40兆円だとすれば、1.2兆円税収が増える計算です。

もし、幸福実現党が言うように、最低でも4%の経済成長が実現すれば、税収は4.8兆円に上昇することになります。

経済成長をすれば、増税が不要だということはここからも導けます。

しかしながら、法政大学の小黒一正教授を筆頭に3という数字は高すぎ、少なくとも1程度だという意見が財務省をはじめとした政府側のエコノミストから出ています。

技術的な問題点は別にしても、税収弾性値を低くしておけば、増税をしても景気への影響力はないと言いたいわけです。

小黒教授の研究書や論文は、玄人好みの内容で説得力があるように見えますが、日本の成長を過小評価していること。財政破綻のリスクを過大評価している点に弱点があります。

つまり、彼の依拠するマクロ計量モデルの設定がそのようになっている以上、財政破綻の結末が出てきてもおかしくはないというわけです(『2020年、日本が破綻する日』ほか参照)。

◆日銀短観では不十分首相は増税中止の決断をするべき

上述のように、日本の経済学者は、増税による景気への悪影響を過小評価し過ぎています。財政破綻や財政規律を懸念する合理性はあるにせよ、現実経済の重要な事実を見落としているのではないでしょうか。

例えば、日銀短観は、確かに景気の動向を示す指標ではありますが、増税を決定する経済指標としては不十分です。

本来ならば、鉱工業生産指数や住宅着工指数、失業率、有効求人倍率などの指標が上向かない限り本格的に景気が良くなったとは言えません。

これらの指標は左から右へ行くほど、効果が出るのに時間がかかるのです。

つまり、アベノミクスを評価するのは時期尚早であること。もう少し、景気が回復するには時間がかかるとみるべきです。

増税は成長の足かせとなり、税収減と失業率の高騰を招くことになるでしょう。

日本税制改革協議会(JTR:内山優会長)のご協力のもと、9月18日には、消費税増税に反対する14万人の納税者の声を首相に届けました。

東京をはじめとした主要都市でもデモが開催されました。今でも全国のどこかで党員が消費税増税を中止し、本格的な経済成長を目指すために活動をしています。

幸福実現党は、最後の最後まで諦めず、首相の勇断を引き出すために戦い続けます。(文責・幸福実現党静岡県本部幹事長 中野 雄太)
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